電車内プロレス

起きた瞬間感じた。
寒い。間違いなく寒い。

我が家の一階で、既に吐く息が白く変化して見える。
おまけに外はポタポタ小雨模様。

「はぁ〜行きたくないにゃ〜」


そんな陰気臭い中、出社したおいらを神は見てくれてた。
帰りの電車で、滅多にお目にかかれない出来事に遭遇したのだ。



混雑する中、俺の前に立っていた女性が猛烈な睡魔に襲われていた。


頭は前後左右にローリング。気を抜けば膝から落ちる。
狂牛病も真っ青なパンチドランカー状態である。


人間、良く出来たもので、無意識でも体はバランスを取りにいく。


−そこに悲劇と喜劇の神が舞い降りた。


カーブで大きく車体が揺れた瞬間、頭は大きな弧を描いた。


「ボゴン!!」


体を支えるために握っていたポールに見事ドンピシャマジヘッド!!
しかも同時に膝から崩れ落ちる合わせ技!!

その姿は、相手を捕まえて頭突きしたら、自分の方が痛くて苦しむプロレスラーにそっくり。


(゜∀゜)!!!!!!「あははははははははははははっ」(こころの声)


必至に笑いをこらえるおいら。
素晴らしい!!素晴らしい合わせ技!!
こんなところでプロレスが見れるとは思わなかった。

女性は羞恥心と痛みが同時に襲ってきたのか、
今までの滑らかな動きが嘘のように固まってしまった。


でも胸を張れ、誇るのだ。
ギスギスした車内に笑いを与えた名誉の打撲だ。
おかげで帰り間際にソフトが落ちたムカつきさえ吹っ飛んだ。


いや、素晴らしかった。
また電車内プロレスを観戦できることをおいらは期待しているっぺ。